なぜ府県でなく、「道州」なのか

以下、3つの理由があります。

① 国の“大きな仕事”を地域に移譲するため  

 たとえば、河川は県境をまたいで流れますから、現在は国の管理下にありますが、川の大きさを 考えれば道州が適しています。高速道路網や空港・港湾整備も今は国の仕事です。横並び行政の結果、都道府県ごとに建設した空港が軒並み赤字になっていますが、これは、作るときは国が決めて 、作ったあとは県が経営しているからそんなことになっているのです。空港を造るのも効率よく運 営するのも、同じ主体=道州で責任をもって計画し実施すべきです。

 大きな仕事を適正な規模の行政体に分割し、責任を明確にしていくことの効果は、分割民営化に成功したJRを思い浮かべると よくわかります。ほかに電力・ガス会社なども道州程度の大きさで運営してうまくいっています。

 

② 財政基盤の安定のため


  現在も、都道府県単位では地方の税収にかなりのばらつきがあります。それを現状では地方交付金で再分配しています。交付金などをやめて自主財源にして自立するためには、都道府県単位だとやや厳しいですが、いくつかの都道府県が集まれば、ある程度の財政基盤の大きさを確保できます。そして、現制度だと道路財源は福祉のために使えませんが、道州ごとの裁量でで重点政策への財源配分を大きくできます。産業政策、少子化対策などで、地域によって異なる政策も道州単位で可能になります。

 また、地域住民の年齢構成や、地域固有の事情により、年次ごとの歳入が激しく増減すると、年金事業、教育、住宅政策など、中長期的な対応が必要な分野に時間をかけてじっくり取り組むことが難しくなりますから、この分野でも道州の大きさを必要とします。

 

③ グローバル化に対応する成長戦略のため

 各国のGDPでみると、オランダと九州、ギリシャと北海道、アルゼンチンと四国はほぼ同じです。 また、今世界でもっとも経済的に活性化しているのは、上海、シリコンバレー、インドのバンガロールなど、国というより地域であり、その規模は、多くが人口数百万人程度の規模です。現代のグローバル化社会のなかで国際的経済的に自立し、成長するためには、このくらいの大きさが適しているのです。
  かつて高度成長期の時代には、日本という国の大きさやシステムは最適規模であったから、経済成長がうまくいきました。しかし、スピード化、IT化、多様化した現代には、変化にすばやく対応できる、小回りのきく今までより小さな行政単位が最適です。さらに、地域ごとの特色=農産物、観光資源、産業などを地域の強みとして活かす経済戦略により、世界でその価値が認められることが地域繁栄のために大切です。例えば、パウダースノーのスキー場に世界から観光客が訪れるとか、和牛のおいしさが評判になりアジアの人たちが食べにくるとか、そういった地域をもっと戦略的に増やしていくのです。そのために最適な大きさが道州なのです。

具体例   ~関西地区淀川の例~

   道州制.com メンバーによる投稿

 淀川水系という県境を越えた問題に対処するには、国と言う単位では大きすぎ、県という単位では小さすぎるのです。淀川水系の治水や利水についても、水系全体でトータルに考えた方が効率が良いのに、関係府県と国または独立行政法人とが協議しながら、議会の議決を経てそれぞれが同意したうえで、計画を決めなければいけないのが現状です。そのため、大阪府と京都府は、一部ダム(大戸川ダム)をめぐって、国と対立し、それが他のダム(川上ダム)の工事にも影響を与えて、方針が決まったはずの川上ダムも計画決定の手続きが進まない。川上ダムは、すでに建設中で、利息も発生しているのですが、計画の決定がないと、この利息も膨らむ一方。奈良県は、大阪府と京都府が大戸川ダムについて国との協議が進まない影響で、川上ダムの建設利息を問題解決が遅れた期間分も含めて、独立行政法人から求められることになります。
  大戸川ダムは、国直轄であり、川上ダムは、独立行政法人の水資源機構というところの管轄です。このため、計画決定のプロセスも異なります。
  でも、よくよく考えると、淀川水系全体を見ることができる行政主体がひとつあれば、こんな無駄なことにはならないよな。道州制ならば、淀川水系の治水や利水をトータルに考えたうえで、必要なダム、不要なダムを仕分けし、建設中止や用途変更も決断しやすいだろうにと思います。