道州制議論の経過

「道州制」は最近唐突に始まった議論ではなく、実は戦前からの長い歴史があります。
日本の政治制度を考える人達が、年月をかけて議論を重ね、
特に地方自治重視の観点から地域行政の手法としての有用性は、古くから指摘されてきています。

■ 1927年;昭和2年州庁設置案
 戦前から、経済社会の発達に伴い道州制や府県合併論は話題になっており、府県の上に置かれる国の行政区画として北海道以外の地域の6州を置く州庁設置案が提案された。

■ 戦時体制下
 戦時体制下には、広域行政が必要となり以下を設置。地方集権的な発想に基づくというよりは、集権的な動機が主であった。①昭和15年地方連絡協議会(北海道以外の8地域)②昭和18年地方行政協議会(全国9地域)③昭和20年地方総監府(全国8地域)

■1957年;第4次地方制度調査会
 『地方制』案 府県の廃止と国と市町村の間に全国を7~9ブロックに区分した「地方」を置く
※地方制案は出席委員33名中、賛成17名というギリギリで決定された。しかし、「地方」の長である地方長は「地方」の議会の同意を得て内閣総理大臣が任命するという中央集権的なものだった「違憲」「官選知事」の批判にさらされ具体案にならず消えていく。

■1963年;府県合併論
 ◎関西:大阪・奈良・和歌山、◎中部:愛知・岐阜・三重
 ※経済界を中心に議論が台頭したが、どの地域も辺境まで行政が浸透するかどうかが問題にされ、結局、大阪や名古屋が発展するだけだということで批判。

■1966年;府県合併特例法案 → 2年後廃案
 ※合併には議会の2/3の賛成が必要。達しない場合は住民投票も必要。

■1969年;財界主導の「道州制構想」
 ※日本商工会議所の道州制案

■1972年;田中角栄『日本列島改造論』府県制度の根本的見直し提起

■1989年;大前研一『平成維新』出版。道州制を問う!

■1990年;日本青年会議所の連邦制構想
 8「州」400-500「藩」

■1996年;PHP研究所の州府構想
 12「州」257「府」

■1997年;読売新聞社の地方再編構想
 12「州」300「市」

■2000年;民主党 衆院選挙の第一の公約に『道州制』! 

■2001年;第27次地方制度調査会で『道州制』導入を検討開始
 政府の諮問機関である「地方制度調査会」は、経済財政諮問会議(議長 小泉首相)の基本方針に基づき“道州制の導入”や“都道府県の合併”など2年かけ検討。2003年に答申を受けて総務省は地方自治法の改正に着手予定とした。(地方制度調査会で道州制導入の本格検討を行ったのはこの第27次が初めて)

■2002年4月;首相が道州制の検討指示
 小泉純一郎首相は、自民党国家戦略本部の保岡興治事務総長や同党議員連盟「道州制を実現する会」の杉浦正健幹事長らと首相官邸で会い、都道府県の行政区域を広域的に再編する「道州制」を国家戦略本部で検討するよう指示した。「実現する会」は首相に要請書を提出、道州制導入のメリットとして①国からの税財源移譲による地方主権の確立②地方の中央依存体質脱却で10兆円以上の「国民負担増なき財政削減効果」が期待できる③自治意識の高まり-などを挙げた。

■2003年8月;「越の国」道州制提案
 富山県は、福井・石川・新潟・富山の北陸4県の連邦型道州制で統合の試案をまとめた。

■2003年9月;北東北3県、道州制で勉強会、知事サミットで合意

■2003年9月;中四国の知事ら道州制など研究「第15回中四国サミット」で合意

■2003年11月;衆議院選挙マニフェスト
 自民党:道州制導入の検討と北海道における道州制特区の先行展開
 将来あるべき行政の姿として道州制導入を検討
 「北海道道州制特区」の創設
 内閣府等に担当組織を設置し、2004年度中に「道州制先行プログラム」を作成
 民主党:道州制の導入や税財源の地方移譲を行い、民間や地域、あるいは市民セクターに任せるべき。小さな中央政府

■2003年12月;道州制モデル特区 よその人から「九州指定を」 埼玉県知事が提言
 首相官邸で一日開かれた全国都道府県知事会議で、上田清司埼玉県知事が道州制のモデル特区に北海道とともに九州も指定するよう、小泉純一郎首相に提案した。出席した九州の知事は佐賀、宮崎2県だけだったが、2人とも前向きに評価した。

■2004年1月;地方分権改革推進会議 道州制や効率化などを検討
 今夏に小泉純一郎首相に提出する最終答申に向けた論点整理案が明らかになった。
 地方行政体制では、道州制についての考え方や基本的な制度設計を整理。地方財務局など省庁の出先機関が管轄するブロック単位とするか、10-20程度の県を範囲とするかなどについて、海外の事例も参考に検討する。

■2004年1月;総務省 都道府県合併を簡素化 市町村に「地域自治区」設置可能に

 総務省が自治体の合併推進に向け今国会に提出する地方自治法、合併特例法の各改正案と、05年3月に期限を迎える同特例法に代わる合併推進法案の概要が23日、明らかになった。
 地方自治法改正案は、現行では特別法の制定が必要な都道府県の合併について、都道府県議会の議決を経て国会の同意があれば合併できるとし、手続を簡素化する。道州制論議の本格化をにらみ、条件整備を目指す。

■2004年1月;滋賀県が研究会発足、道州制や県の役割を議論
 滋賀県は、道州制や市町村合併進展後の県の役割を議論する「分権時代の県のあり方研究会」を発足させる。道州制をめぐり国の地方制度調査会が検討を始め、関西経済連合会が昨年2月に広域連合「関西州」の創設を提言したことなどを受けた。

■2004年1月;静岡県の政令県構想道州制への端緒に 知事「実現には時間」
 石川嘉延知事は、政府の地域再生構想の募集に対して本県が提案した「政令県」制度について「道州制導入に向けた第一歩」と述べ、都道府県再編の端緒になるとの考えを強調した。 

■2004年2月;北海道 平成16年度道州制推進プラン(案)発表

■2004年2月;神奈川県松沢知事「1都3県で」 国の新首都圏計画で提案
 首都圏の4都県知事懇談会が開かれ、松沢成文知事は、国土交通省が5年ごとに策定する首都圏整備計画について「05年度で今の計画が終わる。06年度から国に代わって1都3県で作成したい」と提案した。

■2004年2月;道州制の研究会発足へ 東海3県と名古屋市で
 岐阜、愛知、三重の各県知事と名古屋市長による「東海3県1市知事市長会議」が14日、愛知県東浦町で開かれ、岐阜県の梶原拓知事は、道州制 に関する研究会を3県1市の職員レベルで発足させることを提案。 

■2004年2月;第28次地方制度調査会 道州制導入を本格検討へ
 「第28次地方制度調査会」のテーマを、都道府県を廃止したうえで十数ブロックに再編して大幅に権限を移譲する「道州制」導入問題に絞り、本格検討を進める方針を固めた。調査会が都道府県再編を主要テーマとするのは、57年に答申を提出した第4次調査会以来、約半世紀ぶり。「道州制」については①『単純な都道府県合併』や、②『国の出先機関を統合するブロック制』、③『立法権を持つ道州による準国家連合的な「連邦制」』など、さまざまな議論があるため、第28次調査会で論点を整理する。ただ、連邦制については「憲法との整合性が問題になる慎重なスタンスから検討が加えられる」(関係者)とみられる。国から道州への権限移譲を進める場合に明確化が必要な国と地方の役割分担についても、制度論と併せて検討する。

■2004年2月;道州制基本法の成案策定へ=自民議連
 自民党の道州制推進議員連盟(杉浦正健会長)は2月25日の総会で、道州制基本法の制定に向け、プロジェクトチームで具体的な中身を議論する方針を確認した。今夏の参院選までに成案の策定を目指す。併せて、北海道で権限移譲や大幅な規制緩和を先行的に行う「道州制特区」の在り方についても議論する。

■2004年4月;国の出先との統合推進を 道州制特区で道が提案書
 北海道は、有識者で構成する道州制推進会議(座長・宮脇淳北海道大大学院教授)を開き、国への「道州制特区」申請に当たって、①国の出先機関と道庁との機能統合 ②国の政省令の規定を、道の裁量で条例によって変更できる「政省令の上書き権」の付与--など、抜本的な行財政改革の方向性を盛り込んだ提案書をまとめた。4月中に国に提出するが、具体化をめぐり中央省庁の反発も予想される。提案書は、目指す道州制の将来像として、ほかに「多層行政の非効率解消のため、国・道・市町村による一体的な予算要求、執行、評価」「郵便局、ハローワークなどの機能を活用した新地域ネットワークの形成」を含め計4点を「総合的な推進事項」に挙げた。ただ、方向性の提示にとどまっており、具体策には触れていない。