現行の国・都道府県・市町村という枠組みは、明治時代半ばから約120年にわたってほぼ変わらず維持されて、現在に引き継がれてきました。 しかし、今道州制の議論が高まっています。

道州制をとりまく現状

― 注目されている道州制 -

 

 道州制は、国のあり方を問い直す大きな議論です。しかし、前にも説明したとおり、この問題については、戦前戦後から論議されてきたものの、実現しないままに消えていきました。その結果、現行の国・都道府県・市町村という枠組みは、明治時代半ばから約120年にわたって、ほぼ変わらず維持されて、現在に引き継がれてきました。しかし、今また、道州制の議論が高まっています。ここでは、最近の道州制に関する動向を説明します。


1. 最近の道州制議論の高まり

(1)政党における取り組み

 最近の道州制議論の高まりを示すものとして、政治分野での動きがあります。2003年の衆議院選挙において、自民党では、「国から地方へ」と小泉純一郎首相の掛け声のもとに、道州制導入の検討を公約に掲げています。
 また、民主党もマニフェスト(※3)の中で、「道州制の導入」により、地域中心の国家を作る構想を示しています。このように、2大政党である自民党と民主党の公約に「道州制」がはっきりと記されたことは、注目すべきことです。

(2)国における取り組み

 首相の諮問機関である地方制度調査会(※4)では、2003年から道州制導入の提言を行っていますが、2004年からは、さらに具体的に、道州制を導入するべきか、また導入するのであれば、どのような制度にするのかを検討しています。また、全国知事会(※5)でも25道府県知事が参加して道州制研究会を作り、道州制の研究・検討を行っています。

3)地方での取り組み

 最近は地方でも、道州制への議論が行われています。
 

 

 今の段階で道州制のトップランナーの役割を担っているのは、北海道です。北海道では、これまでも道州制についての検討を行ってきましたが、政府のバックアップを得て、道州制のモデルケースとして、「道州制特区(※6)」になる構想を進めています。

 その他、目立った動きを取り上げると、東北地方では、青森・秋田・岩手の3県が、将来的には「東北州」の創設も視野にいれて連携を始めています。また、関西地方では、県など行政機関の議論は低調ですが、関西経済連合会など経済界が「関西州構想」の研究を進めています。 

 その他の各地方においても、多くの県が道州制に関する検討会を設置するなど、道州制の議論が徐々に広がっています。

2. 道州制の実現に向けて

(1)実現に向けた動き

 このように、道州制の議論が高まっているものの、まだ「道州制は日本にふさわしい仕組みなのか」「どのような道州制を選んだらよいか」ということを検討している段階で、実現段階には至っていないのが現状です。しかし、徐々に実現へ向けた動きも出てきています。

 自民党では、公約で道州制の検討をあげていますが、それとともに、モデルケースとして、2004年に北海道を「道州特区」にする意向も示すなど、道州制に向けて具体的に動きだすためのメニューも提示しています。北海道側も、道州制を試験に行うことについて自身の考えをまとめた「道州制プログラム(※7)」を作り、2004年4月に国に提案するなど積極的に対応しています。

 このように、政府では実行レベルの試みも始めており、今後もその動向が注目されます。また、2004年5月には都道府県合併が今までよりも実施しやすくなるように、法律の改正を行うなど、制度面での下準備ともいえる動きも見られます。

 地方でも、北海道の他に青森・秋田・岩手の3県では、産業廃棄物税を共同で行うなど、実際の業務上の連携を始めるなど、議論だけに終わらない流れを感じさせます。

(2)道州制実現への道のり

 今後のステップとしては、まず、法制度の問題があります。今の法律では、現行の国・都道府県・市町村という枠組みを前提にできているため、道州制は実現できません。そのため、あるべき道州制のビジョンを描いたら、それに見合った新しい法律を作ったり、現在の法律を改正する必要があるのです。これは、場合によっては、憲法の改正が必要になる議論であるとも言われています。

 また、法律などの整備を行うとともに、現在、国・都道府県・市町村で行っている業務について見直しを行い、新しい役割分担の考え方にしたがって、再配分することになります。例えば、現在県が行っている警察の仕事は、州が行うのか、市町村が行うのか、それとも民間が行うのかというように、ひとつひとつの業務について、どこが分担するのかを決め、必要に応じて引き継いでいかなければなりません。さらに、その業務を行うための財源についても、再配分することになります。

 道州制への移行は、程度の差はあれ、国が持っている権限を地方に移す動きになるので、この段階では、今まで地方に対して影響力を持っていた国会議員や中央官僚の抵抗も予想されます。

(3)国民みんなで議論しよう

 また、道州制へのプロセスの中で欠けているのは、国民的議論への発展です。つまり、政治家や官僚などの、特定の人たちだけが議論するのではなく、国民一人一人が関心を持ち、世論を作っていくことが大切です。道州制の議論は、政治・行政分野で高まりつつあるものの、まだ国民的議論にまで発展していません。
道州制の議論は、中央集権という行き詰まりを迎えたシステムを打破して、新たな国のかたちを決めるという、非常に大きな改革なのです。それは、すべての国民に係わってくるものであり、国民不在のままでは済まされない問題です。

 今後は、道州制について、国民レベルでの活発な議論が期待されるところです。