ここでは道州制についてまだなじみの薄い方のために、なるべく中立的な立場から、 「道州制」に関する現在のさまざまな情報・議論を整理してお答えしていきます。

よくある質問(FAQ)

Q.道州制(どうしゅうせい)とは何ですか?

A.現行の都道府県を廃止して、複数の府県を統合した程度の面積規模を持つ広域行政体と基礎となる自治体をつくり、地方の自立を目指した統治制度です。一般に、この広域行政体を、「道(どう)」「州」「道州」と呼んでいます。
  広辞苑など大きな辞書には記述がありますが、実際の「道州制」の言葉の使用は辞書通りばかりではありません。

※参考;広辞苑での道州制の定義
  「現行の府県制を改め、数府県を包括する道または州を置く制度。社会的諸条件の変化に伴う現行制度の行き詰りを広域行政によって打開しようとするもの」

 

Q.「道・州・道州」は、それぞれどう違うのですか?

A.基本的には同じものです。ただし、提言によっては、明確な定義分けをしているものもあります。広域自治体と呼んでいる提言もあります。権限や独立性などで変えているようです。

 

Q.連邦制とは違うのですか?

A.連邦制とは、立法権まで保持した地方自治体から成る国家統治システムで、アメリカ合衆国、イギリス、ドイツなど多くの国で採用されています。
  前述したように「道州制」には権限移譲に関する明確な定義がありませんので、「連邦制」を「道州制」と言い換えることも可能です。

 

Q.道州制と言ってもいろいろあるのですか?

A.道州制には多くの案や提言があり、それぞれに、出てきた背景も違えば、目的・ねらいも違います。
  例えば、道州制について、まずこうした違いがあること認識・整理しておく必要があります。言葉のイメージで道州制が使われ、理解や議論を難しくしています。

 

Q.道州制を導入すれば、どんな利点・効果が見込めるのですか?

A.提言されている具体的なプランにはいろいろなものがあり、それぞれ目的、目指す効果もさまざまで一概には言えないのですが、主として次に挙げた中のひとつないし複数の効果を見込むものがよく見受けられます。

● 時代に合わなくなった中央集権体制とそれに伴う利権を壊すこと
● コスト削減 (国の出先機関や県ごとに行っている業務の統合によるコスト削減)
● 閉塞感・行き詰まりからの脱却 (このままでは日本はダメになるから、何かせねば)
● 生活者主権社会の実現 (利権体制を壊して、生活者のための政治を実現させる)
● グローバル経済との共存による経済的繁栄の仕組みの実現 (地域国家論という理論に基づく)
● 広域行政の実現 (環境や産廃など、広域行政の方がやりやすいものがある)
● 生活の質を上げ、コストを下げる (利権体制の打破や規制緩和、地域国家論などによる)
● 地域・地方の自立、地方自治の実現 (自立できる大きさとして道州ぐらいの大きさが必要という考え)
● 日本全体としての投資のポートフォリオ化 (道州ごとに違う道を歩むことで、全滅を避ける)

 

Q.どんな道州制プランが提言されているのですか?

A.認知度の高いものを中心とすると以下のような提言があります。
① 北海道を特区として、道州制に挑戦するかどうか平成16年度予算で実施を模索しています。
② 地方制度調査会は、(小泉首相の指示により)今後2年を目処に道州制について審議検討をします。(委員会の動向については総務省のHPを参照してください。)
③ 民主党『2003統一地方自治体選挙政策集』の最初に「道州制の実現とコミュニティの再生」案があります。
④ 大前研一の道州制。
⑤ 石井正弘岡山県知事による『中四国州』構想。
⑥ 九州知事会「道州制等都道府県のあり方を考える研究会」では、道州制、連邦制、県合併、県連合や県境を越えた広域連携等都道府県のあり方に関する情報収集及び調査研究を行っています。
⑦ 広島県による分権改革推進プログラム(2005~09年度)。都道府県再編の方向性として、「早期に道州制への移行を目指すべき」と明記しました。
⑧ 松沢神奈川県知事による道州制論。「道州」は全国で10~11設置するものとしますが、当面、地域を限って導入することも可能とする一国多制度について触れています。

 

Q.道州制の導入に、憲法改正や法律の改正は必要ですか?

A.道州制の具体的中身・憲法解釈にもよるので一概には言えません。多くの提言は、立法権に触れていないこともあり、概ね現行憲法の枠内で可能としています。その中で、地方自治法の改正や道州設置法(仮称)のような法律を必要とする意見が大半のようです。
  
  参考までに憲法の条文を引用します。

 第92条 地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める。
  第94条 地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。

 憲法には地方自治の規定がきちんとあり、法律でその内容を定めてよいことになっていると考えて良いでしょう。(そのため、現在のような、中央集権が強く、権限や予算、経済産業基盤などの面で実質的な地方自治が困難な状態のほうが憲法違反なのではないかという意見さえあります。)

 

Q.そもそも都道府県は何をしているのですか?

A.現行の地方自治法ができる前(昭和22年以前)の制度では、都道府県は市町村の上位機関であり、市町村の指揮監督をする役割を担っていました。しかし、現行の地方自治制度では、都道府県・市町村は対等の立場にあり、その性格に応じて役割を分担して、地域における行政を展開していく関係にあるとされています。
  現状の役割分担としては、住民に身近なものについては基礎自治体である市町村が行い、広域的な事務や連絡調整など、市町村という規模ではできないものや、非効率・非能率的になってしまうものは都道府県が行うことになっています。
  法的には、都道府県の事務は、①広域事務、②連絡調整事務、③規模・性質により一般に市町村が処理することが適当でない事務の3種類に分類されており、例えば、警察、高校学校、保健所の設置などは都道府県の事務です。

 

Q.道州制に移行して都道府県がなくなったらどうなるのですか?

A.都道府県は上述のような役割を担っているのですが、市町村合併が進むと、市町村の規模が大きくなると同時に、その事務能力も向上してくることが予想されます。すると、①②のような広域性を重視した都道府県の役割(事務)が少なくなっていくことが予想されます。また、②の連絡調整についても、分権や情報化が進むにつれ、以前ほどの重要性はなくなっていきます。
  「道州制」と言われるものにもさまざまありますが、私たちの提案する道州制とは、地方主権を実現させるひとつの形で、根本は国と道州という広域自治体(県がいくつか集まった程度の大きさをイメージ)、基礎自治体(5~20万人程度をイメージ)の3者の役割分担を見直そうというものです。基礎自治体を重視し、ほとんどのことは基礎自治体で完結させることを想定しています。つまり、県の仕事のほとんどは基礎自治体へ移管する。国は防衛、外交、通貨、災害援助に関する業務を行い、その他の業務を新しく生まれる広域自治体へ移管する。広域自治体は、基礎自治体がどうしてもできない部分と国から移管される事務を行うのです。
  このように都道府県の事務を基礎自治体・広域自治体・国に再配分することにより、広域自治体や基礎自治体では補助金をもらってやるような二重業務をなくし、自己完結を目指します。

 

Q.都道府県合併は道州制につながるの?

A.都道府県合併とは、現行の都道府県制度を前提に、合併して単に区域を広げるもので、その機能や事務などは基本的に変わりません。つまり、あくまでベースは現状の制度であり、都道府県の規模が大きくなることによって、より効率的な組織・財政運営を実現しようというものです。
  大雑把に言うと、現行制度上の都道府県合併は、中央政府の考案した行政事務メニューをより効率的・効果的に地方で展開しよう、それには中途半端な規模では非効率的なので、合併して大きくなろうというもので、国と地方(県市町村)の役割・関係を根本から変えるのではありません。
  「道州制」と言われるものにもさまざまありますが、私たちの提案する道州制は、その根本的な役割を変えようとするものです。「地方のことは、地方で決め、地方でやる」ための権限移譲を目指しているもので、現行制度の中で都道府県合併を推進しても、それが直ちに道州制につながるものとはいえません。むしろ県も市大きくなった、道州制ができたと、言葉だけの道州制になってしまいます。